馬の背のピッチを行くK松
1)概要
①日程 2024年11月23日(祝)
②メンバー
K松(新人)、Y村、A山
③コンセプト
今回の主眼は新人K松の初マルチピッチ。
加えて「全ピッチリードでオンサイト」も課題とした。
クライミングを始めて数ケ月の人に、「初マルチピッチ」で「全ピッチリードでオンサイト」を課題とするのは、ずいぶん乱暴なことと思われるかもしれない。
しかし、彼には十分可能と判断した。
判断基準は、平日なんばDボル練習。加えて、それを踏まえた休日の外岩フリートレ、不動東壁、百丈でのマルチ練習である。
彼は生まれて初めて見聞きする技術に対して誠心誠意覚えようとしてくれたし、クライミングでも登れない課題に果敢にチャレンジしていた。それを横で見ていたからこそ判断できた。逆に言うと、それがなければ何も判断できないと思う。
④行動概要
朝7時に大阪駅に集合して、いつもの東屋に向かう。
天気は少々心配な感じ。そして、地蔵東稜取り付きでは、小雨が降ってきた。
雨雲レーダーを見ると天気の悪い日本海側から、小さい雨雲が時々降りてくるという天気のようだ。
それでも岩は登るのには問題ない。スタートを決めた。
K松は実に淡々と登っていく、それにY村はクライミングシューズ、そしてA山はアイゼン手袋でフォローする。
長いスラブを越え、核心と言われる薄かぶりのチムニーで後ろから来たパーティーに追い抜いてもらう。向こうは二人だし、つるべ登攀。こちらは一人リードに二人フォロー。しかも一人はアイゼンだ。マルチピッチでめったにこういうことはしない私だが、今日は仕方ない。
ところが待っている間に雨がかなり降りだした。
岩から滴り落ちる水滴も激しくなってきたので、撤退することを考えた。
それでも前のパーティーがそのピッチを登り終えるころには、晴れ間も見えてきてみるみる岩が乾いてきた。あれだけ水滴が滴っていたのに、なにも無くなった。
もちろん前進を判断した。
そのあとは極めて順調。
何の問題もなく頂上に着いた。
やはり今日のヒーローのK松の写真は残しておくべきだろう。
何かあったときには自分が登ろうと思って担いでいたクライミングシューズとチョークバックが、単なるお荷物になってしまったことが喜ばしかった。
2)K松感想
とうとうこの日がやって来ました。
1ヶ月ほど前に「11月末は雪彦やね!」と、言われ、冗談と思っていましたが、それに向けての、百丈岩でのトレーニングを終え、当日が迫って来ました。
前日は、緊張と興奮で眠れず、朝になるとワクワクに変わっていました。
去年の4月に雪彦山へ行った時に、地蔵岳を登っている人を見て「凄い」と思っていましたが、まさか自分が登るとは考えていませんでした。
当日、天気は晴れ予報でしたが、怪しい雲が覆っております。
取り付きへ到着した時は、パラパラと雨が降り、様子を伺いながらのスタートとなりました。
様子を伺いながらゆっくりスタートし、ボルトを探しながら登っていきます。
間隔が広く、不安になりながら登り、支点を作りビレイ作業に移ります。
今回は、事前に笛での合図を決めており、その実践を行いました。
声の届かない距離を想定しての練習で、勉強になりました。
各ピッチが終わり、合流した時に改善点を指摘して頂き、即実践です。
この繰り返しが、良い練習となり、数々の問題点・疑問が解消されていく事を実感できました。
4ピッチ目の傾斜の強いクラックでは、先行者が何度も失敗しているのを目の当たりにし、ちょっとビビりました。
しかし、実際に登り始めると、外岩での練習の甲斐あって、問題なく登る事ができました。
その後も、ご指導を頂き8ピッチに差し掛かります。
2通りのルートがあり、頂上フェースを考えましたが、取り付きのトラバースが怖くて、諦めました。まだまだ修行が足りません。
というわけで、ルンゼルートから地蔵岳山頂に、登頂出来ました。
最後のビレイ作業中に見えた虹は、一生忘れる事はないでしょう。
ご指導頂いたA山さん・Y村さん、本当にありがとう御座いました。
この山行で思った事は、A山さんが日頃からおっしゃっている、フリーの練習をしっかりとやる事だと思いました。その成果と思う事が、登ることへの不安が無かったことだと思います。
ロープが繋がっていて、パートナーがしっかりとサポートしてくれている安心感は、何事にも変えがたく、恐怖は全く感じなかったことです。
逆に、自分の支点の取り方・ロープの扱いがまだまだ未熟な事を痛感しました。
まだまだ課題は沢山ありますが、しっかりと身に付けていきたいと思います。
今後とも宜しくお願いします。