明神岳南西尾根~主稜

【日  程】2024年7月28日(日)~30日(火)

【メンバー】Y田、H井

【記  録】H井

 

本当は劔岳のアルパインルートに行こうと話していた。しかし今春、二人で残雪期の爺が岳にトライして体力不足を痛感し、今夏の劔は無理と判断。代わりにと選んだのが明神主稜だ。

劔ほどではないものの、ここも技術より体力勝負だと分かってはいたがー。

※明神岳~前穂高岳の間はエスケープルートのないバリエーションルートです。体力・歩荷力はもちろんのこと、ルートファインディング力、岩場の登攀など、総合的な山の力が求められます。自信がない方は、力量のしっかりとした経験者や、プロのガイドと登ることをお勧めします。

 

【行程】

7月28日(日) 前穂高岳東壁登攀の拠点となる奥又白池を偵察に行く

7月29日(月) 上高地から明神岳南西尾根経由で明神主稜へ。明神岳山頂から前穂高岳山頂を経て岳沢小屋へ。小屋泊。

7月30日(火) 岳沢小屋から上高地に下山。入浴後帰阪。

 

詳細

7月28日(日)

初日は早朝に着く高速バスで上高地入り。あいにく外は小雨。朝食と身支度を整え出発。泊り道具など不要な荷物をデポしたく、先に幕営地・小梨平キャンプ場で受付を済ませる。熊の被害が出てから食料をコンテナに入れる必要があり、そのためには受付が必要なのだ。受付ついでに先にマイホームを設営する。軽量化のため、今回は個ツエルト泊。

ツエルト設営に少し手間取り、出発は7時となった。大雨の影響で梓川左岸の小梨平~明神間が通行止めとなっており、岳沢湿原経由で明神を目指すことになる。あろうことかH井、耐えがたき睡魔に襲われたため、明神館前で睡眠の時間を取らせてもらう。10分ほどのつもりが気づくと30分近く経っていた(汗)降っていた雨も止んで青空が見えている。慌てて再出発。徳沢園から仮設橋を渡って再び右岸へ。パノラマ新道に入る。あまり人が入っていない気配で登山道上を草が生い茂っている。奥又白池と涸沢方面の分岐についたのが11時頃。この先は未知の世界だ。中畠新道のとりつきは意外とすぐわかった。噂の通り急登で道も細い。薮も発達していて、なかなかパワーがいる。予定より行動が遅くなったこともあり少しペースを上げて登っていると、ちょうど視界が開け、松高ルンゼと合流する標高2300m地点あたりでY田からストップのコール。少し体調がよくなくこのままだと明日の本番に差し障る気がするという。このまま登っても幕営地に戻るのが遅くなることもあり、ここで引き返すこととする。17時30分、小梨平に帰着。

 

【7月29日(月)

朝4時30分出発。岳沢湿原のあたりも熊が目撃されているので、気配に注意しながら歩く。7番天然クーラーの案内の箇所に来たのが5時40分。そこからいよいよ5峰まで標高差1,000mの登りが始まる。木の根っこに滑らないよう集中して登る。昨日のことがあるので、ペースはゆっくり目に。標高2,500mあたりにくると、視界が開けてくると同時に、やせ尾根やちょっとした岩場も出てくる。それを越えて5峰が見えてからまだまだ遠かった。少し風も強くなってきた。足元をすくわれないよう注意しながら歩き10時30分、5峰到着。写真でよく見るピッケルが本当にささっていた!記念写真を撮り休憩して先へ。4峰は難なく越え、3峰へ。ここは巻く、フィックスロープがあるということは分かっていたので楽勝♪と思っていたら、その先でルートを見失う。危ういザレ場を進み、ここじゃないと核心して戻るのも死ぬ思い。迷ったら戻るという原則に立ち返ってみたら、ハイ松帯に道を発見。この先何度もハイ松に道を隠されて悩むことになる。2峰は2回の懸垂と聞いていたが、実質3回の懸垂になった。2回目はなくてもいけたけれど、ちょっとビビッていた。そうこうしてようやく明神岳の山頂へ。14時となっていたが、このあと天候が崩れること、強風になることが予想されていたため、何がなんでもこの日のうちに岳沢小屋まで行く必要があった。以前も迷った明神~前穂間は今回も悩まされ、いきつ戻りつ、無理に岩を乗り越えたりして、なんとか前穂の山頂に着いたのが16時。ガスも濃くなってきて気持ちが焦る。幸い電話が通じたので、小屋に電話して、到着は19時を過ぎそうだと連絡を入れる。前穂からは一般道だが、そうはいっても重太郎新道。疲れた足には堪える。滑落事故も起きているので、一歩一歩慎重に。小屋まであと30分もない、というところで、日が暮れヘッデン装着。小屋になんとかたどり着いたのは、19時30分を回っていた。20時消灯だというので、祝杯を挙げたあと夕食も取らずすぐに就寝。

 

【7月30日(火)

予報通り雨。少し雨脚が弱まるのを待って下山開始。幸い雨はさほど強くない。小梨平に8時半下山。預けた荷物を受け取り、ここでお風呂と思ったが、午前中は営業していない。向かいの小梨平食堂でティータイムにして時間をつぶし、9時から空いているお風呂に入った。

 

〇感想

体力勝負とはわかっていたものの、手ごわかった。もっと歩荷力が必要なのか。脚力には自信があるつもりだったが、そうでもないのか。爺が岳に行ったときにも思ったが、安全のためにもっていく装備が逆に重さとなって時間のかかる原因、疲労の元ともなっている。どこまで備えればよいのか、本当に悩ましい。(H井)

 

真夏に高山(2,000m以上)の縦走をしたのは、2年前に歩いた八ヶ岳以来の2回目でした。高度差で地上より12度以上低いということで油断していましたが、当てが外れて、一日目は熱中症+高山病の合わせ技でギブアップしてしまいました。今年は他の人の話を聞いていても、普通に熱中症になるということで、ちゃんと状況判断をしないといけないなと反省です。二日目は今までの山行の中で1日当たりの行動時間が最長の14~15時間くらいになってしまいました。これもまた、反省すべき点ですが、この一日で大分スタミナがついた実感があるのと、高山のバリエーションに初めて登った経験を得られたので、大きい収穫もあったと感じています。体力面は登りですぐに息があがってしまうので、走り込みとかして、心肺機能を鍛えないといけないのかなあ?(やりたくない)と思いました。(Y田)